瑞穂蔵は栃木県那須町に店を構える米屋です。
少しでも親しみを感じていただけたらと思い、瑞穂蔵がこれまで歩んできた道のりをご紹介します。


配給所時代

昭和30年代、掘っ立て小屋から始まった米屋

瑞穂蔵を経営する那須食販株式会社は、戦後の配給制の時代、瑞穂蔵初代店主の母(瑞穂蔵の現役看板娘でもあります)によって創業されました。当時は掘っ立て小屋で、大変貧しい暮らしをしていたそうですが、持ち前のパワーと商売センスに高度経済成長の波が相まって、少しずつ会社は大きくなりました。当時の主な収入は那須温泉郷の旅館やホテルへの業務用米の販売だったそうです。

瑞穂蔵の初代店主はこの家の長男に生まれました。別の会社での修行を経たのち、20代前半に那須食販に入社し、「平成の米騒動」や「コメの自由化」など業界の転換期を経験しました。厳しい状況をなんとか切り抜け、平成5年に社長に就任。その後は、戦後から続く米屋として、米を主食とした日本の食文化を伝えるという使命を感じ、常日頃から一般家庭向けの商品を販売する店舗の構想を練っていました。



瑞穂蔵建設中の初代店主

平成10年4月、「瑞穂蔵」はじまる

その構想は日に日に膨らみ、初代店主の情熱が少しずつたくさんの人を巻き込んで、ついには現実となります。平成10年4月、まだ肌寒さの残る那須高原に瑞穂蔵はオープンしました。
約1620坪の敷地に、瓦葺屋根で檜造りの店舗、水車小屋、蔵造りの低温倉庫を配し、更に大釜や米俵を積んだ大八車、昔ながらの農機具である木製の唐箕(とうみ)などを展示して自由に見学ができるように設計。また、お米の味に納得してから買い物ができるよう、かまど炊きのごはんを召し上がっていただけるお食事処を店内に設け、未知の領域であった飲食業に足を踏み入れます。親戚の皆さんや、当時小学生だった長女も日給100円で動員して、バタバタの営業が始まることとなりました。


オープン当初の食事処

量り売りの玄米

食文化を売る米屋として

パンや麺の食事がますます一般的になった日本で、店主が米屋としての生き残りを賭けて伝えたかったのは、日本の米食文化の素晴らしさでした。まさに「一日ニ玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜」で「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダ」を持つことができる食文化です。米だけでなく「食文化を売る店」として、店のスタイルは自ずと決まっていきました。
・対面販売 ―お客様との対話を大切にするため、玄米を量り売りしてその場で精米し、自然と話す機会が生まれる販売方式にしました。

・自ら産地に出向く ―その対話を豊かで中身のあるものにするために、自ら産地に出向いて生産者と話し、確かめ、考え、吟味した商品を集めました。

・適正価格で売る ―安くも高くもなく、商品の品質と価値に見合う適正な価格、それが生産者、私たち、米文化を守るという考えのもと価格を設定しました。

・米食を支える脇役にこだわる ―素朴な日本の食卓を完成させる脇役たちも、気を抜かず、本当に美味しいものにこだわりました。味噌は今でも米を凌ぐ勢いの人気商品です。



古民家を移築した食事処

平成15年、古民家を移築した食事処を新設

開業後は、ありがたいことにたくさんのお客様にお越しいただき、一棟だけでは対応が難しくなりました。そのため、開業から5年が経った折、お食事専用の建物を設けることとなりました。
建物は栃木県市貝町の造り酒屋の家屋(明治時代築)を移築した古民家で、正面の門構えは江戸時代 黒羽藩主宅のもの。日本の古き良き食文化を知っていただくためには、日本の古き良き建物で召し上がっていただきたい、という店主のこだわりでした。天井を見上げると太い梁が交差し、四方の戸からすーっと風が抜け、柱や床に触れると木材の温かみが感じられる…大変気持ちが良く、それでいて落ち着く建物です。凝り性であった先代が、周囲の反対を押し切りながら、お金をかけ、こだわって作った建物は、地元の方に「那須の名物」と呼んでもらえる立派なものになりました。



空から見た瑞穂蔵

これから

瑞穂蔵がオープンしてから20年以上が経ちました。「米屋は三度目に変えよ」という諺があります。米屋は初めのうちは良い米を売るが、慣れてくると悪い米を売るようになりがちであるから気をつけよという意味です。瑞穂蔵では、先代店主直筆のこの諺を、お客様に見えるように店内に掲げて営業をしています。
良い米を売るという当たり前のことを変わらずに続け、変わらない米食文化の良さを伝える、そのためには、逆に自分たちは柔軟に変わっていかなければならないと感じています。目まぐるしく変化する世界の中で、固執せず、でも信念を持って良いものを売る、真っ当な店であり続けたいと思います。







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